「病気」に向き合わないで
最近の若い獣医師は、治療法や薬の使い方について非常に熱心に勉強しています。しかし、熱心であるほど「動物」ではなく、「病気」にだけ向き合っている傾向があるように感じます。動物が好きだという気持ちから獣医師を志したはずなのに、勉強するほどいつの間にか「こんな症例が来ないかな」と期待するようになり、「病気が好き」になっていることがあるのです。
病気とばかり向き合っている獣医師は、治療の選択肢が狭まるものです。学んだ治療法にとらわれて柔軟な対応がとれなくなったり、データが集まらないと打つ手がないと感じてしまったりするためです。動物について知らない獣医師が、予防獣医学を実践することは非常に難しいと言えます。
実は、動物に向き合えていないのは獣医師だけではありません。飼い主さんにも同じことが言えるのです。最近の飼い主さんは、病気について一生懸命ネット検索してから病院に来られます。すると「うちの子はネットで見かけたこの病気だ」と決めつけていて、私が食事を変えれば治るとアドバイスしても納得してもらえないことがあるのです。
「ペットを病気にしたくない」「早く治してあげたい」と思うなら、動物そのものにきちんと向き合う姿勢が重要です。